「臨終師フォン」創作メモ

長編小説「臨終師フォン」を出版しました。よろしくお願いします。出版までの過程をメモとして残して、みなさんのお役に立てればと思います。

小説の書き方の本

一番にあげるなら、前にあげたD.R.クーンツの「ベストセラー小説の書き方」でしょう。これはKindle版が出ていないのがもったいない良書です。他の有名作家で似た本が出ていますが、クーンツのはとても実践的な内容です。ストーリーライン、プロット、ファーストシーン、予告テクニック、アクション、登場人物の作り方、背景描写などの物語の普遍的な作り方は、簡潔にまとめられ、いまでも役に立つはずです。

ただ、当時のコングロマリット化した出版業界にどう売り込みをかけるかに、その出版市場の変化を考察していますが、現代ではオンラインで発表したり、個人で電子出版できる時代でありクーンツの時代とはかなり違うのは確かです。

ちなみに次の一文は、読んだ当時ショックを受けました。小説家で生きて行こうとは思ってませんでしたが。

 毎年少なくとも短編六本、長編四本のSFを出版し、SFの基準でいけば経済的にも恵まれているほうだったのだけれども、社会一般の基準からいえば、平均あるいはそれ以下の収入しかなかったのである。(P40)


クーンツのこの本とよく比較されていたのは、スティーブン・キングの「小説作法」です。ただ、キングの作法であって、それはあまり普遍的とは思えませんでした。彼の小説家としてのエッセイとして読めば面白いのですが、素人の創作活動のためになると思えません。キング好きの方にはお勧めします。キングの愛読者のわたしは楽しく読めました。「小説作法」は今は新訳となり、「書くことについて」というタイトルでKindle版も出ています。

最近で有名なのは、やはりK.M.ワイランドの本でしょうか。「アウトラインから書く小説再入門」がいちばん有名だと思います。当たり前と思われる内容ですが詳細に説明してくれています。「ストラクチャーから書く小説再入門」、「キャラクターから作る物語創作再入門」も読みましたが、重複している内容が多いかもしれません。ワイランドはファンタジー歴史小説を書いているのですが、このシリーズの方が有名なのは本人は不本意かもしれません。