当て書きによる小説
「当て書き」とは、映画や演劇などの脚本において、あらかじめ登場人物に俳優を想定して書く方法です。実際には、俳優のスケジュールを押さえ企画が成立した上で書く場合と、単にイメージとして俳優を想定して書く場合があるようです。
小説執筆で当て書き、というのはあまり聞かないのですが、やってみるとキャラクタがイメージしやすく、動かしやすく、セリフも自然に出てくる気がします。身長、体重、身長差、立ち振る舞い、声のトーンまで思い描けて、個人的にはオススメです。あの映画の、あのシーンの、あの表情で、と思うと描写しやすいです。
拙著「臨終師フォン」 でも、キャラクタ設定をする段階で、あて書きの俳優を想定しました。次が、その表の一部です。年齢のズレなどかなりありますが、その辺は脳内で補正して書いていました。
登場人物 | 年齢 | あて書きの俳優 | 想定した映画 |
---|---|---|---|
ドー・フォン(主人公) | 44歳 | アンディ・ラウ | 墨攻 |
ダールマ・シン | 19歳、見た目40歳 | ウー・マ | チャイニーズ・ゴースト・ストーリー |
アレハンドロ・オロスコ | 22歳 | アダム・ドライバー | パターソン |
エドムンド・サンチェス | 55歳 | マイケル・クラーク・ダンカン | グリーン・マイル |
サリー | 46歳 | サリー・イップ | 上海ブルース |