「臨終師フォン」創作メモ

長編小説「臨終師フォン」を出版しました。よろしくお願いします。出版までの過程をメモとして残して、みなさんのお役に立てればと思います。

「ギルフォードの創造性テスト」と小説著述

前エントリー「ゼロからイチの幻想2  組み合わせの発想法」で発想法について書いたので、補足しておきます。

ギルフォードの創造性テストというものがあります。「レンガの使い道を3分以内にできるだけ多く考える」というテストはどこかで聞いたことがあるでしょう。冷静時代を背景に、IQでは測れない、創造性というものを評価する手法として米国で考案されました。現在、テスト結果と現実の乖離があるとして実用はされてないですが、考え方は参考になります。

このテストにはコツがあって、それを知っていると知らないではまるで点数が違ってきます。 まずは特性を列挙することです。その特性に沿って使い道を列挙していきます。また、特性から思いつく似た物の代用品でもいいです。例えば、レンガで建材、重い、固い…などの特性を列挙して次のような表を作っていけば、すぐに50ぐらいの使い道が考えられるでしょう。

<特性> <用途>
建材 外壁、塀、敷石、花壇、椅子、テーブル…
重い バーベル、ダンベル、アンクルウェイト、転圧機…
固い 武器、投石、ガラスを割る…
赤い ピクセルアート…
割れる 射撃の的、ストレス発散…
削れる 絵の具、蝋石、チョーク、墓石、表札…
四角い 麻雀牌、トランプ、ジェンガ、トランプタワー…
倒れる ドミノ倒し、ボーリングのピン、将棋崩し…

この他に、古いCDの使い道、古民家の使い道、廃棄された空港の使い道などなど、練習と思って自分で考えてみると勉強になると思います。

ちなみに、このテストでは普通の人間は道徳的な制限を自らかける事が多いですが、それを無視して書く練習をした方がいいです。例えば、このレンガの場合では、死体を沈めるための重石、強盗の武器、歩道橋から落として車の事故を落とす、などなど考えられます、多くの人は書きません。

拙著「臨終師フォン」 を書いている途中でも、この技術を随所に使っています。コメントとして、その場所などの特性を書いておいて、後でそれを膨らませて描写するようにしました。 例えば教会のシーンの部分では、コメントに教会の特性、室内、室外、備品、感覚、行事、人々、一日の作業などを多数メモで書き込んでおきます。実際にシーンを書くにこのコメントを意識しながら、膨らませて書くようにしました。

さらに創造性テストについて深く興味があれば、日本創造学会のコンテンツなどが役に立つかもしれません。多数の論文が出ています。

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