「臨終師フォン」創作メモ

長編小説「臨終師フォン」を出版しました。よろしくお願いします。出版までの過程をメモとして残して、みなさんのお役に立てればと思います。

「臨終師フォン」Apple Books販売再開とKDP99円セール

「臨終師フォン」KDPセレクト終了に伴い、Apple Booksでの販売を再開しました。再開記念に10月中は100円で販売することにしました。(ついでにKDPでも99円販売にします)

臨終師フォン

臨終師フォン

books.apple.com

Apple Books発売再開記念で、KDPでも99円セールします(多分10月中) 。KDPセレクトをやめると、無料キャンペーンはできずに最低99円になってしまうのです 。

KDPセクレトに登録すると、1)Kindle Unlimited対象になる、2)印税率70%になる、3)無料キャンペーンが可能というメリットがある反面、KDP独占販売、期間が90日で自動更新、というデメリットがあります。わたしの場合にはメリットがあまり感じられずKDPセレクトの更新はやめました。 Kindle Unlimitedの人に読んでもらえるのはありがたいですが、比率的にはかなり少なかったです。多分、10%以下でしょう。小説はやはり買ってしまう方が多いみたいです。

近未来予測とシナリオ・プランニング 補足

前エントリー、近未来予測とシナリオ・プランニング の補足ですが…。

前エントリーでは書き忘れていましたが、シナリオ・プランニングにおいて重要なのは、ドライビングフォースによる両極端のシナリオにおける状況を理解し、その行動を決定しておくことにあります。

なので、小説としては「理想シナリオ」の世界での物語を展開させましたが、実世界においては他の「楽観シナリオ」、「理想シナリオ」、「破綻シナリオ」、「衰退シナリオ」での行動を考えておくべきなのでしょう。「楽観シナリオ」は問題ないとして、特に「破綻シナリオ」を考えておくべきです。暗い未来感になりますが。

私の考え方のほとんどは、ピーター・シュワルツの「シナリオ・プランニングの技法」から得ています。四半世紀前の本ですが。昔は、シュワルツの本ぐらいしかありませんでしたので。これにより、新規事業計画、新商品戦略などに使っていました。良い本なので、オススメしたいですが、今は他のシナリオ・プランニングの本も多く出ているようです。

未来予測においては、人口動態は長期的に信頼性のある予測数値になると言われています。四半世紀前にも日本経済新聞社の「2020年からの警鐘」シリーズなどで、日本の人口減少とそれに伴う社会変化は予想されていました。当時に十分なシナリオ・プランニングがなされ、行動計画が決まっていたらもうちょっとよい社会になっていたのでは、と思うと残念です。

近未来予測とシナリオ・プランニング

 拙著、「臨終師フォン」は9/3 17:00まで無料キャンペーンをやっています。

 この小説は、近未来予測をした上で創作した物語になっています。近未来予測はデルファイ法などの方法がありますが、シナリオ・プランニングはその結果の表現方法の一つとして使っています。  近未来予測、デルファイ法、シナリオ・プランニング、ドライビングフォースなど、詳細を書くと多量の文章になりますが、今回は本書との関係を示すために、以下に「著者あとがき」の部分を転載します。


著者あとがき

 本作は、人類文明の未来についてのシナリオ・プランニングを行い、その未来の一つの世界における物語を描いたものになります。登場する技術は、何らかの研究論文、研究成果が背景にあり、それなりに可能性がある未来社会となっているはずです。とは言え、実現時期として早すぎるものありますし、多少のホラ話も織り込まれています。フィクションとしてご容赦ください。  シナリオ・プランニングとしては、ドライビングフォースとして技術発展、社会体制変化を二軸とし、その作る平面の四象限を、それぞれの四つのシナリオで考えています。

【一】 楽観シナリオ(技術発展が進み、社会体制は変化しない) : 奇跡的な技術発展により、百億人が快適な住環境、食糧、水、エネルギー、健康、教育、娯楽、安全、平等を得て、現在の先進国の中間層以上の生活をする……あまりに楽観的すぎて、それを実現する技術を思いつきません。多くの人が期待しているシナリオでしょうが、そのような未来が訪れるのは奇跡でしょう。

【二】 理想シナリオ(技術発展が進み、社会体制も変化する) : 技術発展により、快適な住環境、食糧、水、エネルギー、健康、教育、娯楽、安全、平等を得ることが可能になる。しかし、格差是正と安定的な世界を作るために、大きな社会体制の変化も必要となる。それに遅れる人々もしばらくは多く残る。

【三】 破綻シナリオ(技術発展が遅れ、社会体制も変化しない) : 技術発展も遅れ、百億人の中での格差は広がるばかりとなる。そのために、世界規模での紛争、戦争、経済問題、環境破壊を繰り返していくが、どこかで大きな破綻を招く。現在、一番可能性が高いシナリオと思われる。

【四】 衰退シナリオ(技術発展が遅れ、社会体制の変化がおきる) : 技術発展も遅れ、百億人の中で格差を是正、あるいは無視するために大胆な社会体制の変化が行こなわれる。それに伴い、ゆっくりとした衰退がおこる。

 本作品は、個人的にあるべき姿だと思う、理想シナリオの世界を描いています。  また人類文明のシナリオ・プランニングと同等に、心脳問題(Mind-Brain Problem)、人工知能創発についても大きなテーマとなっているのは、ご理解いただけると思います。

 このような世界を描いていますが、多くの方に読んでいただくために、出来るだけエンターテイメントにしようと考え、映画を想定し、シナリオを書いてから、シーンを書き込んで小説にしています。  また、当初は脚注を書こうと思いましたが、多量になり本文を超えてしまうので、他にまとめて書くことにしました。

 ドンソン国は架空の国であり、その歴史や地理も架空のものになります。その他の、二〇二二年以前の歴史は、ほぼ現実のものになります。


「臨終師フォン」Kindle版 無料キャンペーンのお知らせ

引越し、さらに引越しといろいろと忙しく、はてなも放置していました。が、やっと活動をはじめます。

拙著の近未来予測によるSF「臨終師フォン」Kindle版ですが、9月1日17:00から9月3日17:00まで無料キャンペーンをやりますので、ぜひダウンロードしてみて下さい。どこかで宣伝してもらえるとありがたいです。

KDPセレクトはあんまり意味ないので、次回でやめようと思うので無料キャンペーンは最後になります。Apple Booksでは出せなくなるし。今回を逃しても99円ぐらいの値下げはやると思います。 ちなみに、9月2日はこの小説でもポイントとなる日になります。

「臨終師フォン」Kindle版 無料キャンペーンのお知らせ

拙著「臨終師フォン」 ペーパーバック版(POD:プリントオンデマンド) を出しました。発売を記念して、Kindle版の無料キャンペーンをやります。3月4日(土)17:00から3月6日(月)16:59まで無料となりますので、ぜひダウンロードしてみて下さい。また、どこかで宣伝してもらえるとありがたいです。読んだら是非とも感想をお聞きしたいです。 ペーパーバック版は1400円(税込1540円)とちょっと高いので、入学祝い、進学祝い、就職祝い、病気お見舞い、ご贈答にぜひどうぞ。

PODによるペーパーバック版2、校正刷りについて

KDPのPODによるペーパーバックは、校正刷りを安く注文することができます。

  • 校正刷りは、印刷コスト(今回の場合は四六判321ページで印刷コストが817円)x冊数+送料410円で送ってもらうことができます。1日半で到着しました
  • 表紙に「再販禁止」とプリントされ、販売物と区別されます
  • 表紙は艶なしにしたせいか、やや暗めに感じます。発色にこだわるなら、校正を繰り返す必要がありそうです
  • 印刷コストを下げるために、上下左右の余白は少なめ(ヘッド0cm、フッタ1cm、余白は上1cm、下1cm、内側1.5cm、外側0.7cm)、文字は大きめ(10pt)にしたために、ゆとりがない印刷に感じます。が、値段を下げるためにしょうがないと諦めました
  • 全体には満足のいく質感です
    校正刷り

PODによるペーパーバック版を出しました

先日、KDPで出した「臨終師フォン」 のPOD(プリントオンデマンド)によるペーパーバックを作り、発売しました。この記事はmacOS、Pagesを使ってペーパーバック版を作ろうとしている方には参考になるかもしれません。おおまかな流れはKDPのサイトの流れに沿った方が簡単ですが、設定を覚書として書いておきます。

  • 判型 : 色々選べますが、単行本向きの127mm×188mm(四六判)を選択しました。当初、文庫本サイズ(A6)にしようかと思ったのですが、Kindleの PODではないようです。
  • 表紙 : 表紙は表紙、背表紙、裏表紙を合わせたPDFファイルが必要で、Kindle用のデータから作りました。愛用しているAffinity Photo2で作成。ページ数により背表紙の幅が違うために、原稿が完成してから作る必要があります。
  • 原稿 : 日本語の原稿はPDFのみなので、Kindle用のものをPagesでPDFにしましたが、細かい設定はいろいろ悩みました。以下の通りです。
  • 原稿の判型 : Pagesのファイル・ページ設定で、用紙サイズが127mm×188mmのものを作り、書類サイドバーから選択します。その他、ヘッド0cm、フッタ1cm、余白は上1cm、下1cm、内側1.5cm、外側0.7cmにしました(見開きページ、の項目をチェックする)。この値は、自分で読みやすくページ数少なくなるような設定を決めています。ほぼ、本の作成: ペーパーバック原稿の書式設定 (Mac 用 Pages)に説明されていますが、ちょっと分かりにくいです。EPUBから最適な原稿を作ってくれる設定があってもいいのに…
  • ノンブル(ページ番号) : 外側(奇数ページは左、偶数ページは右)に入れたいのですが、Pagesにその設定がない気が…、とりあえず中央に入れておきました
  • フォント : 見出しはヒラギノ角ゴProN 10Pt、本文はヒラギノ明朝ProN 10ptとシンプルにしています。間隔は、1.4などにすると行数が変動してしまうようで(詳細不明)、固定の18ptにしました。
  • 値段 : 上記の設定、四六判321ページで、印刷コストが817円。amazonのレートが60%(この計算方法は意味が不明…)で、最低販売価格が1362円となり、ロイヤリティはわずかの32円にして売価1400円、税込1540円にしました。単行本としては高いかと思いましたが、POD(プリントオンデマンド)と考えれば安いでしょうか。まあ、紙の本も出してみたいと思っただけで、儲けは度外視ですが…。
  • (追記) ロイヤリティの計算ですが、定価の4割はamazon分、6割から印刷コストを引いた分が著者ロイヤリティ、ってことのようです。つまり今回の場合は、定価1800円にすると、税込1980円、印刷コスト817円、著者ロイヤリティ263円、amazon720円。定価2000円にすると、税込2200円、印刷コスト817円、著者ロイヤリティ383円、amazon800円 となります