「臨終師フォン」創作メモ

長編小説「臨終師フォン」を出版しました。よろしくお願いします。出版までの過程をメモとして残して、みなさんのお役に立てればと思います。

続々)Royal Road始めました

  • 前回までの話 拙著「臨終師フォン」をChatGPTなどを使い、英訳し、海外の小説投稿サイトRoyal Roadで「Deathbed Master Phong」として公開、一冊分の翻訳を完了しました
  • Royal Roadのフォーラムで海外の作家志望の方々の意見を聞き、キャリアパス?が次のように明確になっていたのがちょっと新鮮でした。(日本でもそうなのかもしれませんが)
  • まずはRoyal Roadなどのサイトで作品を出す
  • その中で、コメントや批評をもらい自分のスタイルやジャンルを確立していく
  • 作品を出すと同時に自分のファンを作る、SNSRedditを通じて宣伝する
  • ファンが得られたら、Discordなどで自分のコミュティを作る
  • ファン向け支援サイト「Patreon(パトレオン)」などを利用し、少人数でも収益を得る
  • Royal Roadでの本が完了したら、KDPでKindleから本を出し収益を得る。(その時はKindle Unlimitedにする、Kindleで収益は Unlimitedからが九割だという情報もあり驚き)
  • Royal Roadでの評価は、ユーザー間でのreview swap(お互いにレビューで褒め合う)などのクロスプロモーションが多く、あんまり信用できないという話も聞きます。(実際にReview swapの誘いメッセージはよく来ます)
  • 例えば、フォロアーが100超えなのに、平均ビューが50という人もいました(私はフォロアーが一桁ですが、平均ビューは110ぐらい)
  • ChatGPTで英訳していると、知らない英単語で自分の文章を訳してくれるので、とても勉強になります。「Royal Road英語学習法」を書けるんじゃないかと思ったぐらい

www.royalroad.com

(続) Royal Road始めました

  • 一月以上かかって拙著の翻訳が終わり、Royal Roadにやっと一冊分を出せました。予想よりもかなりかかってしまいました。よかったら読んでください。英語ですが意外に読めます(それは作者だからか)
  • 読者を獲得する方法はなかなか分かりません。SNSRedditで宣伝しろというのが大半の意見ですが、あまり効果ないです
  • 読んでくれる人は、現国のテストのようにきっちり読み込んで感想を書いてくれて、驚きます
  • 日本人だというだけで、質問してくる人はやたらに多いです(でも読んではくれない)。アニメ等の影響で、日本を知らずに日本設定で書いていますが、詳細がわからずに質問してきます。ヘンな日本人の名前が気になりますが、いちいち指摘するのが面倒なほど多いです
  • Royal Roadの読者層は、昔は男性8割だったのが、いまは男性6割女性4割だということです
  • 作品は、LitRPG(RPG風小説?)、異世界転生などのファンタジーが人気のようです。個人的にはその種の作品は設定などがとても平凡に感じます。BLというけど、どこが?と思う作品もありました
  • 拙著は日本語版のKindleは出していますが、英語版も出して見ようかと思ってます

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Royal Road始めました

  • Royal Roadという、英語での小説投稿サイトを知って、投稿してみようと始めました
  • 英語は得意ではないですが、機械翻訳を駆使している人も多いので、それを真似してみました
  • 英訳した英文を、さらに日本語訳して間違いを見るのは基本技のようです
  • 最初、DeepLとChatGPTを両方駆使してやってみました。DeepLのIndividual(有料の一番安いプラン)の文字数30万字は、結構すぐに制限になってしまいました。まだ無料期間なので解約しました
  • ChatGPTは時々、とんでもないヘンな間違いをするので油断できません (横田-> YOKOHAMAとか)
  • ChatGPTは毎回、変なサジェスチョンをしてきますが、そこは完全無視です
  • 日本語は人称の省略が多いので、人称の間違えが一番多いです。もともと翻訳文体が好きなので好きなので意外に人称トラブルは少ないのですが、やはり注意が必要です
  • 翻訳モノ好きなので、日本語的な言い回しや流行語はほぼないので、その辺は楽でした
  • これ文法的に間違っているんじゃない、ってコトがよくあるのですが、どうも合っているで、学校のグラマーが役に立ってません
  • ちゃんと英語にはなっていますが、それでも、これがどういうニュアンスかというとまるで分からないです
  • それでも、ちょっと世界が広がったようで面白いです。米国だけでなく世界中の人が投稿してます

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アイデアの三角形

発想法については「ゼロからイチの幻想2  組み合わせの発想法」「「ギルフォードの創造性テスト」と小説著述 」「拡散的思考と収束的思考」と書いたので、ついでに「アイデアの三角形」という私の考え方を加えておきます。アイデア出しについては、息をするように出来ますが、その質については次のように考えています。

イデアの三角形

イデアは、良いアイデア、悪いアイデアという一軸で考えてしまいますが、実は上のような三角形に分布するという様に考えた方がわかりやすいです。X軸は「ありきたり - 型破り」という軸、Y軸は「良い - 悪い」という軸。アイデアというものは、ほぼこの三角形に収まり、左端の平凡なアイデアにいくと、そこは良くも悪くもない、ありきたりなモノばかりです。最高のアイデアとは、奇抜でありながら良いモノ、最悪なアイデアは奇抜でありながら悪いモノです。

一般人がアイデアを出すと、大抵はありきたりなものばかりで、悪くもないし良くもありません。アイデア出しの失敗原因の第二位は数が出ても平凡なところに落ち着いてしまうことです(第一位は、前提がそもそも間違っていること)。アイデアマンというのは、悪いもの、良いものを超えて奇抜なモノを出すことができます。

かつてあるプロジェクトのワークショップで、奇抜なアイデアを出させる練習として「最悪なアイデア」を出すというのをやってみました。最高のアイデアというのを考えさせるのは心理的に難しいのですが、最悪のアイデアを出せというと、楽しく一生懸命考えてくれます。また、最悪の部分を変えていくと、そこには最高へのヒントが見えてきます。アイデアにおいては、平凡と最高は距離が遠いですが、最悪と最高の距離は意外に近いのです。

  • 良いアイデアを出すのではなく、奇抜なアイデアを出そう
  • 奇抜なアイデアというのが難しいなら、最悪なアイデアを一度考えてみるといい

小説もそうですが、平凡なところに最高なアイデアはありません。最高を目指すなら、最悪を恐れずに型破りなアイデアを出しましょう。

当て書きによる小説

「当て書き」とは、映画や演劇などの脚本において、あらかじめ登場人物に俳優を想定して書く方法です。実際には、俳優のスケジュールを押さえ企画が成立した上で書く場合と、単にイメージとして俳優を想定して書く場合があるようです。

小説執筆で当て書き、というのはあまり聞かないのですが、やってみるとキャラクタがイメージしやすく、動かしやすく、セリフも自然に出てくる気がします。身長、体重、身長差、立ち振る舞い、声のトーンまで思い描けて、個人的にはオススメです。あの映画の、あのシーンの、あの表情で、と思うと描写しやすいです。

拙著「臨終師フォン」 でも、キャラクタ設定をする段階で、あて書きの俳優を想定しました。次が、その表の一部です。年齢のズレなどかなりありますが、その辺は脳内で補正して書いていました。

登場人物 年齢 あて書きの俳優 想定した映画
ドー・フォン(主人公) 44歳 アンディ・ラウ 墨攻
ダールマ・シン 19歳、見た目40歳 ウー・マ チャイニーズ・ゴースト・ストーリー
アレハンドロ・オロスコ 22歳 アダム・ドライバー パターソン
エドムンド・サンチェス 55歳 マイケル・クラーク・ダンカン グリーン・マイル
サリー 46歳 サリー・イップ 上海ブルース

拡散的思考と収束的思考

前エントリーの「ギルフォードの創造性テスト」と小説著述でギルフォードについて書いたので、ついでに拡散的思考と収束的思考について書いておきます(好きな分野なので)。

ギルフォードは、拡散的思考(Divergent thinking)と収束的思考(Convergent thinking)という概念を提唱しています。自分なりに説明すると次のようになります

思考法 性質
拡散的思考 Divergent thinking 情熱的、主観的、創造的、アイデア
収束的思考 Convergent thinking 冷静、客観的、分析、深い思考

大体において、小説家や芸術家などは拡散的思考の持ち主に違いありません。オタク、テッキー、ハッカーな人物も拡散的思考です。企業などの集団では、拡散的思考の人々を、収束的思考の管理者が上手くコントロールすることで成立します。

前述の「ゼロからイチの幻想2  組み合わせの発想法」 のプロセスにおいては、次のような思考の切り替えをすると、上手くいきます。

発想のプロセス 思考法
目的を作る 収束的思考
イデアリストを作る 拡散的思考
イデアリストの評価と選択 収束的思考

拡散的思考だけで小説を書くと、自分には理解できますが散漫で独りよがりな内容になりがちです。拡散的思考の著者も、従来は収束的思考を持った編集者や校正者により上手くコントロールされていました。現在では著者一人で完結することも多く、拡散的思考だけに陥りがちです。 となると一人で拡散的思考、収束的思考を切り替えていくことが必要になります。つまりは、自分で拡散的思考で書き込み、自分で収束的思考で編集し校正する、という思考の切り替えをしながら進んでいくのが正しいのでしょう。

拙著「臨終師フォン」 においては、拡散的思考で著述し、時間をおいてから収束的思考に切り替えて読み返しコメントを書く。次に、拡散的思考でコメントを読み返し修正をする、という過程を繰り返しました。行き詰まっても、とりあえず書き散らしておいて、あとで修正すればいいと思うと気が楽でした。

「ギルフォードの創造性テスト」と小説著述

前エントリー「ゼロからイチの幻想2  組み合わせの発想法」で発想法について書いたので、補足しておきます。

ギルフォードの創造性テストというものがあります。「レンガの使い道を3分以内にできるだけ多く考える」というテストはどこかで聞いたことがあるでしょう。冷静時代を背景に、IQでは測れない、創造性というものを評価する手法として米国で考案されました。現在、テスト結果と現実の乖離があるとして実用はされてないですが、考え方は参考になります。

このテストにはコツがあって、それを知っていると知らないではまるで点数が違ってきます。 まずは特性を列挙することです。その特性に沿って使い道を列挙していきます。また、特性から思いつく似た物の代用品でもいいです。例えば、レンガで建材、重い、固い…などの特性を列挙して次のような表を作っていけば、すぐに50ぐらいの使い道が考えられるでしょう。

<特性> <用途>
建材 外壁、塀、敷石、花壇、椅子、テーブル…
重い バーベル、ダンベル、アンクルウェイト、転圧機…
固い 武器、投石、ガラスを割る…
赤い ピクセルアート…
割れる 射撃の的、ストレス発散…
削れる 絵の具、蝋石、チョーク、墓石、表札…
四角い 麻雀牌、トランプ、ジェンガ、トランプタワー…
倒れる ドミノ倒し、ボーリングのピン、将棋崩し…

この他に、古いCDの使い道、古民家の使い道、廃棄された空港の使い道などなど、練習と思って自分で考えてみると勉強になると思います。

ちなみに、このテストでは普通の人間は道徳的な制限を自らかける事が多いですが、それを無視して書く練習をした方がいいです。例えば、このレンガの場合では、死体を沈めるための重石、強盗の武器、歩道橋から落として車の事故を落とす、などなど考えられます、多くの人は書きません。

拙著「臨終師フォン」 を書いている途中でも、この技術を随所に使っています。コメントとして、その場所などの特性を書いておいて、後でそれを膨らませて描写するようにしました。 例えば教会のシーンの部分では、コメントに教会の特性、室内、室外、備品、感覚、行事、人々、一日の作業などを多数メモで書き込んでおきます。実際にシーンを書くにこのコメントを意識しながら、膨らませて書くようにしました。

さらに創造性テストについて深く興味があれば、日本創造学会のコンテンツなどが役に立つかもしれません。多数の論文が出ています。

www.japancreativity.jp